【街レポ】営団東西線“門前仲町”駅とはどんな街?
門前仲町駅近くの富岡八幡宮と深川不動堂を中心に、江戸時代から庶民の門前町として栄えた。
月三回開催される深川縁日では、昔ながらのたこ焼きや今川焼等の屋台が建ち並び下町特有の賑わいが楽しめる。
寺が駅の周辺を点在しており、お参りや散策にも事欠かかない。
1.東京駅周辺までのアクセスの良さと生活インフラの充実[魅力]
営団東西線門前仲町より東西線大手町迄わずか3駅、所要時間6分と圧倒的な交通の便の良さで特にファミリー世帯に人気のエリアである。この他大江戸線門前仲町駅から新宿駅まで26分、
門前仲町から徒歩約10分足らずの京葉線越中島駅から東京駅まで3駅という都心のビジネスエリアへの通勤が非常に便利である。
また近年では大手企業の本社や一部部署の移転等も目立って来ている。
都心にごく近い住宅地という事で、企業と一般家庭が混在しているのもこの地域の特徴ともいえる。
マンション建設ラッシュが1990年代頃から起こり始め、他地域から移り住むファミリー世帯が増えている。それに伴い幼稚園や小学校の児童数が増えているが、
江東区では保育園の待機児童問題等早くから着手しており、認可保育園だけでなく、基準を緩和した新しい保育形体としての認証保育園を増設している。
安心して定住する絶対的な条件である生活インフラの整備や手厚い住民サービスを継続的に行っている事も、外部からの転入者が次々と転入し定住している理由だろう。
また、駅の周辺にはスーパーから和洋菓子専門店、小物など日常生活品の店が揃っている。飲食店も下町らしい中華料理や居酒屋、和食洋食と食のバリエーションは豊富である。
老舗がある一方で、新しいモダンな店も次々と開店しておりグルメの話題には事欠かない街でもある。
2.[駅の周辺は繁華街、駅から離れたエリアは住宅地]
①深川不動堂
門前仲町駅を降り立つと直ぐに見える成田山と書かれた鳥居。ご利益通り商店街の先に通称深川不動尊が見えてくる。正式名は成田山深川不動堂で、千葉県成田市の大本山成田山新勝寺の東京別院である。東京のパワースポットとしての知名度や交通の便の良さや商店街の買い物需要もあり、特に毎年正月には参拝客で大変な賑わいを見せる。
参拝ついでに観光の目玉となるのが開創310年記念事業として2011年に建立された本堂である。
「真言梵字壁」というお不動様のご真言に包まれた特徴のある外壁になっている。
境内の内装は荘厳で格式があり、博物館並みに多数の神仏が安置されている。そのうちの一つであるおねがい不動尊は、身の丈1丈8尺の国内最大級の木造不動尊像である。江東区指定文化財に指定されている不動明王二童子像、四大明王像が安置されてる。約1万体のクリスタル五輪塔が奉安されている、「祈りの回廊」は来場者を不思議な空間に導いてくれる。
②人情深川ご利益通り商店街
門前仲町駅からすぐの通称仲見世通り、人情深川ご利益通り商店街を歩くと、素朴な和食や和洋菓子など昔ながらの風情が残る店が軒を連ねている。
50余年この地域で営業を続けている老舗のおせんべい屋、「其角せんべい」がある。
大正7年創業佃煮の製造販売「筑定」、また、深川不動尊の前には昼時にはいつも行列ができている「近為 深川1号店 」がある。京都のお漬物を含んだ魚定食を頂ける老舗の人気店である。その周辺の屋台のおでんや焼き鳥屋も参拝客で賑わっている。毎月1・15・28日には縁日が開かれて、和菓子屋、小物屋などの屋台が並び更に賑やかになる。
③深川八幡祭り
江戸三大祭りのひとつである「深川八幡祭り」は350年以上の歴史を持つ江戸時代からの庶民の祭りである。毎年盆に行われるが、特に3年に1度催される本祭は御鳳輦が渡御を行う、門前仲町を含む町内会の一台行事である。通称「水掛け祭」と言われ、所々町内会毎に用意されている清めの水で常に濡れながら担ぐ事になる。圧巻なのが永代通り沿いにある消防署のドラム缶並みに大きなホースから浴びせられる流水である。大神輿、子供神輿、各町所有の120数基の神輿が中央区、江東区内を練り歩く夏の風物詩となっている。毎年地域の町内会の役員や会社員等ゆかりのある人が自由に神輿や手伝い等に参加している。
毎年炎天下の中を練り歩くため、それぞれの町内で冷たい飲み物を各所に用意しておき神輿の担ぎ手たちは常に水分を補給しながら担ぐ。企業や町内会、担ぎ手や手伝い役も共同の、まさに地域参加行事と言える。
これらの祭りが終えてから関係者達がその夜「慰労会」を開き、宴会を楽しむのも毎年の光景であり地域の関係を支える一大イベントとしての役割であろう。
④お江戸深川さくらまつり
門前仲町駅からほど近い大横川では桜の時期になると毎年両岸にある桜並木を楽しむ人で溢れかえる。
毎年3月末から4月初め深川観光協会主催のお江戸深川さくらまつりが開催される。メイン会場である石島橋の上にてビール、甘酒、せんべい、焼き鳥、など地域の商店街が参加して販売している。
メイン会場の牡丹公園では大きな桜の下で子供達が遊び大人は花見と、夜も昼もシートを敷いて楽しむ人で賑やかになる。
区内の桜名所を巡り、水面から桜見物を楽しめるリバークルーズが企画される。
和船乗船や昔ながらの新内流しを見物できる。水彩都市江東区らしいイベントである。
⑤テレビ番組のロケ地としての多用
都内のテレビ局からのアクセスも良い為ドラマ等のロケ等で様々な使われ方をしている。
2016年放送された、玉木宏主演ドラマ「キャリア 掟破りの警察署長」「汐見橋」が使われた。また、富岡八幡宮のほど近くに「八幡橋(旧弾正橋)とその背後にある日本家屋らしき家を登場人物の自宅と言う設定で使用された。
八幡橋は日本最古の橋として国の重要指定文化財として指定されていて、「キャリア」以外のドラマでも頻繁に利用されている。 。
喧噪から離れた住宅地の中にひっそりとあるため撮影には適した場所かと思われる。
また、2014年と2015年に放送された、杏が主演のドラマ「花咲舞が黙ってない」の
花咲舞の一軒家の自宅は門前仲町という設定。実際に使用されたのは台東区浅草の家だったそうだが、居酒屋で面会するシーンでは実在する「紅とん門前仲町店が使われた。
2016年放送された、小泉孝太郎主演ドラマ「受験のシンデレラ」は下町の店が頻繁に使用されている。主人公が授業する際の勉強部屋として使用されたお好み焼き屋さんは飲食店街「辰巳新道」の中の旧「すし処一代」である。
お気に入りのドラマやタレントのロケ地巡りをするのも楽しそうである。
3.発展し続ける観光地水彩都市
[特色:500文字]
近年は転入者のみでなく、都心から企業が移転しておりますます昼間の人口が増えて来ている。若者向けと思われる飲食店も周辺に次々とオープンしている。
門前仲町を代表する商店街「人情深川ご利益通り」や、ユニークな街の雰囲気が味わえる飲食店街「辰巳新道」
ここ数年ではニューウエーブカフェのオープンが相次ぎテレビや雑誌などあちこちで紹介されている。
清澄通り沿いに昭和レトロの面影のあるリノベーション物件を使用したカフェなど飲食店のオープンが相次いでいる。
新旧織り交ぜて色々なテイストの商店街が各所に点在して区外からの客を引きつけている。
この地域の人々の下町らしい人なつこさは、外部からの人やモノを受け入れやすい柔軟性は特筆すべきである。
道行く人に気さくに声をかけたりする土地柄は、常に新しい転入者を受け入れ続けた歴史もあるかもしれない。
門前町としての風格を残しながら常に新しい話題と人の集まるユニークな土地柄である。
4.これからの区民のあり方
少子高齢化が叫ばれる現代において、門前仲町のある江東区はマンションラッシュによってファミリー世帯が毎年増えている稀有なエリアである。ただし門前仲町エリアにおいては土地の問題もあり既にマンション数は頭打ちという感がある。
国内外から転入、転出が多いエリアでありそれゆえファミリー世帯においても地域との繋がりがなく、従って地域への帰属意識がない事もありうる。
イベントを通して関係を作ろうという動きも数年の滞在でどれだけ関係を築けるかという事も個々人や地域の課題でもある。地域に定住する世帯が増えても、将来の高齢化問題も抱える。
関東圏郊外のニュータウンが抱える少子高齢化が門前仲町にも起こる可能性もある。
将来においてもファミリー世帯が転入する魅力を持たせることが肝心と思われる。
現在はファミリー世帯が多いゆえの保育園の待機児童問題は今後も対応し小学校における学童保育は門前仲町エリアでは非常に希薄と言えるため区の他地域との格差を是正する必要がある。
また、教育熱心なファミリーが多いエリアでもあり学校選択制が可能でもある。ただし、知名度のある学校に人気が集中している面もあり、公教育においては教育サービスの偏りが無い事を説明する必要がある。